本研究で使用した有機溶媒は、ケロシン、シクロヘキサン、四塩化炭素、n-ヘキサン、イソブチルアルコール、流動パラフィンである。
ケロシンは片山化学製の同じロットのものを用いた。
他の溶媒はすべて試薬級である。
水相には蒸留水を用い、有機相と1時間混合接触させて相互飽和させた後、12時間以上静置分離した。
各相の液物性は表1に示す。
実験装置の概略を図2に示す。
撹拌槽は内径170mmのガラス製平底円筒槽であり、幅17mmのステンレススチール製邪魔板を4枚設置している。
撹拌翼は直径70mmのステンレススチール製6枚平羽根タービン翼を用い、無段変速機によって撹拌速度を調整できるようにした。
実験装置は使用前に中性洗剤でよく洗った後、水道水で洗浄し、さらに蒸留水ですすいで不純物の除去に留意した。
撹拌速度と所要動力は、ストロボスコープと撹拌軸に取り付けた山崎式スプリングトルクメータを用いて測定した。
あらかじめ予備実験によって転相点の目安をつけ、その直前の容積分率で水相と有機相を撹拌槽に仕込む。
撹拌翼を最初に連続相としたい液相側に位置させて所定の速度で撹拌を開始した後、分散状態に注意しながら撹拌翼を液深の半分の位置に移動させる。
全体積を一定に保つために槽内より50〜100mLの分散液を抜きとった後、同量の分散相液を注入して槽内の分散相容積分率を約1%増加させた。
この操作を10分毎に転相が起こるまで繰り返し、その後、撹拌を止めて分相させ、各相の体積を測定して転相点における分散相容積分率を決定した。
予備実験において、転相時には分散液の電気伝導度が大きく変化するが、その際に流動状態の変化に伴って撹拌中の液の外観もまた変化することを確認した。
そこで本実験では、抵抗測定用プローブによる槽内流動への影響を避けるため、肉眼による外観変化の観察によって転相点を決定した。
また、撹拌停止時の沈降および合一の様子によって分散の型を再確認した[6,11,12]。
[目次]
[1.はじめに]
[2.既往の研究]
[3.実験方法]
[4.結果と考察]
[5.おわりに]
[6.引用文献]
[図表]