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シャボン玉日記 2


7月6日
 樋が届いた。 ようやく工作開始となる。
 先日の計算にしたがって樋を切ることになるのだが、果してフラフープを上下させたときにどのくらい着地位置で誤差が出るのかを確かめる必要がある。 そこで、まず滑車に紐を通してフラフープを吊り下げることにした。

 場所は学科棟の東玄関を入った小ホール(というのはおこがましいが)、階段の上り口である。 全体像は6月29日の日記にある完成予想図を参照されたい。
 はじめに滑車をつけたフラフープを天井に固定する。 この天井部分を内装工事したのでちょっと手間取ったが、何とか取り付けられた。
 包帯巻フラフープに結び付けて3本の紐を天井のフラフープの滑車を通し、包帯巻フラフープを床から天井まで移動できる長さの余裕を持たせて束ねる。 これを1本の紐につないで、階段の途中にくくりつけた滑車および天井に固定した滑車を介し、地上に垂らす。
soapbubble photo1
 大まかには昨年の記憶通りに上手く運んだのだが、1本にまとめた後の紐が細すぎて滑車のレールを外れやすいことが判明した。 そういえばそうだったと思い出したが、昨年使った紐が見当たらないので、後日 太目のロープを用意することにした。

 次に、フラフープを上下させて実際にどのくらいずれる可能性があるのか、またフラフープ自体の歪みはどうかを確認した。 床に模造紙を広げ、フラフープを上下させてみたが、ほとんどずれないことがわかった。
 そこで、やや余裕を持ってフラフープの入る範囲を模造紙に書き込み、これに樋を8角形に並ベるとどうなるかを作図した。 6月30日の計算通りなら、内側外側ともに20mm程度の余裕ができるはずである。
 しかし、作図の結果はあまり余裕が見られない。 それでも、作図した模造紙を床に敷いて実際にフラフープを上下させてみると、なんとか収まりそうである。 フラフープが多少いびつになっている分だけ余裕がなくなったようだが、これで何とかなるだろう。

 やっと、樋を切ることになる。 電動ノコギリを使って作図した通りに樋を斜めに切る。 学生達は電動ノコなど使ったことがなくて、始めは怖がっていたが、一度やって見せるとすぐにできるようになった。 必ずしもまっすぐには切れていないが、後でやすりがけをすれば大丈夫だろう。
 ところが、この間 目を離していたのがいけなかったのか、切り口の失敗に後から気がついた。 いや、学生は途中で気がついたようだが、そのまま全部切ってしまったのだ。 何のことかというと、この樋は断面が左右非対称であって、片方の壁は底面に垂直なのだが、他方が上に行くほど広がっている。 ところが、8角形にしようと底面だけ斜めに切ったために、2つの樋をつなげたときにその広がっている部分(これを外側にする)に隙間ができてしまうのだ。
 まあ、やってしまったことは仕方ない。 ビニールシートを間に挟んで樋を2つ重ねるやり方であれば問題ないし、まだ樋は1本残っているので、そちらをちゃんと切ることにした。
 今日は遅くなったので、これまで。

7月7日
 七夕である。 よく晴れているので、織姫と彦星は無事出会えることだろう。 などという季節感も漂わせながら筆を進める。 でも、実際には真夏日続きで暑苦しくってかなわないのである。

 さて、昨日に続いて樋を切る作業である。 昨日の失敗を活かして切り口を考え直した。 若干切り方が難しくなったようだが、何とかこなす。
 すべて切り終えたので、フラフープにあわせて並ベてみた。 上下させてもフラフープが樋の中に入るように設定できそうだ。 でも、樋と樋の間の隙間をうめるのは難しそうである。 断面非対称の樋を使ったせいであり、致し方ない。 結局、ビニールシートを挟む方法で解決することにした。
 後は樋どうしをうまく固定する方法を考える必要がありそうだ。 実際にやってみるとまだまだ問題点が出てきそうでもある。
 しかし、今日のところは暑さにやられて学生もバテ気味のようなので、早目に散会する。

 シャボン玉液用の洗剤が手に入ることがわかった。 これで心配事がひとつ減ったことになる。 早速、洗濯糊とあわせて体験入学までの分を余裕を持って注文した。

 そうそう、学生にこの日記を発見されてしまった。 別に構わないのだけれど、何だか暇をもてあましているように見られるのが悔しい。 これも仕事なのである! ・・・何だか、言い訳がましいなあ・・・。

7月8日
 シャボン玉液プールもそろそろ大詰めである。
 切り終えた樋を8角形に並ベ、ビニールシートをかぶせて、さらに上から樋を重ねていく。 重ねあわせる分だけ少し小さめになるのが、どのような結果を招くのか、実際に試してみるわけだ。 果して、フラフープは上手く樋の中に収まらない。
 樋を少しずつ短めに切っていくことにする。 2cm程度を切り取るのに電動ノコでは危ないので、金切りバサミを使う。
 長さを調整した樋をもう一度重ねる。 それでもうまくいかない。 何故だろう? もう少し切らないといけないか、と思っていた矢先、学生のひとりが樋を一つ抜いて7角形にした。 おっ! 上手くフラフープが入るじゃないか。 これで何とか行きそうだ。 やはり、現実に近づくと下手な計算より勘の方が重要なようだ。 (こんな事を言うと理論屋さんに叱られそうだが、計算に考慮が足りなかったと思って許してください。)

 短く切るときの指示が悪かったせいで樋と樋のつなぎ目にかなり隙間できる。 そのため、ビニールシートをかぶせてもそこが垂れてきて液漏れする怖れがある。 そこで、補強を目的に樋の縁が曲げられているのを利用して、その縁に沿って釣り糸で全体を縛り、個々の樋をつなぐとともにシートが垂れるのを防ぐようにした。
 それでも樋どうしは、つまづいて蹴ってしまうなどの振動でずれるおそれがある。 接着剤その他で樋どうしをきっちり止めてしまうことができないので、底にベニヤ板(コンパネ)を敷いてそれに釘で打ち付けて固定することにした。 シートがあるので、下になっている樋に穴が開いても漏れの心配はないのである。
 まず、きちんと位置合わせをするために樋の底に布テープをまるめて付け、ベニヤ板に軽く貼った。 シートと上になる樋を重ねてフラフープで位置を合わせ、強くベニヤ板に貼り付けた。
 この時点で釘打ちをしてもよかったのだが、折角シートを乗せたので液漏れチェックをすることにした。 必要液量の確認も兼ねている。 ポリビーカーに水を汲んでフラフープが十分浸かるまで足していく。 1回目は、シートが何かの使いまわしだったせいで小さな穴が開いているのに気づかず、液漏れしてしまった。 2回目はうまくいった。 樋の隙間でシートはたるまないし、液漏れはしない。 シートも切って中に人が立てるようにもなった。
 しかし、液が想像以上にたくさんいる。 シートを間に挟んだ分、上の樋と下の樋の間に隙間ができて、無駄な液が必要になるのだ。 6L程度に抑えたいのだが、8L必要かもしれない。

 どうにも詰めの甘さが問題になる。 とりあえず、今週中には目途をつけたい。 うまくいかないことはないと思うが、当初の予想よりもかなりスマートさに欠ける出来栄えになりそうなのだ。 まだ、10月の国領祭までには改良の余地を残しておくということでもいいかもしれない。
 などと思っているところに、去年シャボン玉液調製を担当してくれた現在の専攻科1年生 T.M.さんがやってきた。 お母さんに話をしたら、それを持って老人ホームとかを慰問して廻ったらいいのに、と言われたらしい。 そうか、移動式にするという改良案もあるなあ。 なんだか想像が広がって楽しくなってきた。 まだまだ「完成」という日は遠いようだ。

7月9日
 連日の作業で出来上がり間近というところまで迫ってきた。 当日実施する学生に明日来てもらうことになったので、今日は明日の練習ができるように設定しておく。

 まず、昨日 布テープでベニヤ板に仮固定した樋を釘で完全に固定する。 板を貫通した釘の先端部分は折り曲げて上から布テープで隠す。 これで一応、シャボン玉液プールの方は完了
 滑車を使ってフラフープを動かすときに、紐が細すぎて滑車のレールをはずれることがあるので、太目の紐を用意してうまく上下できるように調整する。 これでフラフープ昇降装置も完了。
 床にシャボン玉液がこぼれると、滑って危ない。 昨年はダンボールを敷いていたが、見た目も悪いし、液をこぼした後がボロボロになるので、薄いベニヤ板を敷き詰めることにした。 これで安全面もOK。
 準備万端。 明日の練習を待つばかり、のはずなのだが、さてどうなることやら。

 さて、昨年は、巨大シャボン玉の中に入った姿をポラロイド写真に撮ってひとりひとり渡してあげていた。 これが功を奏して、2人で中に入る子供たちもいて、非常に盛りあがった。 中には、シャッターチャンスを逃してご機嫌斜めになる子もいたが。
 今年も写真を撮るので、フィルムを注文する。 ただし今回は、撮った写真に名前や日付をいれてラミネート包装して渡してあげようという提案がある。 現在、別のグループで試しており、うまくいけば昨年よりもいいお土産になるだろう。


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