シャボン玉日記'00 その3
7月中旬
今回から新しいネタとして考えているもののひとつが、シャボン玉を浮かべようというものである。
シャボン玉が浮かぶなんて当たり前、と思うかもしれないが、ちょっと待ってほしい。
いくら軽いシャボン玉でも重力には逆らえないはず。
♪シャボン玉飛んだ、屋根まで飛んだ……と唄われるのは、あくまでも風に運んでもらえるおかげである。
つまり、風がなくなると落ちてしまうのだ。
では、風を送ってやればよいのか。
だがそれでは当たり前過ぎて面白くない。
滑車は重力に逆らえなかったが、シャボン玉は重力に逆らえるのではないか。
同じような発想で昨年、ものすごい勢いで浮きあがっていくシャボン玉というのを試してみた。
シャボン玉を空気ではなくヘリウムで膨らませてやろうというものだ。
空気より軽いヘリウムで満たされたシャボン玉は真っ直ぐ上空へと飛んでいくという仕掛け。
今回はそれと逆のことをやってみる。
つまり、シャボン玉の周囲に空気より思い気体を持ってくれば、やはりシャボン玉の方が軽くなって浮かぶはず、というわけだ。
空気よりも重い気体、とくればすぐ思いつくのが炭酸ガス=二酸化炭素である。
というわけで、ドライアイスを用意する。
このドライアイスを水槽の底においてしばらく待つ。
ドライアイスは二酸化炭素の凍ったものなので、周囲の空気に暖められると、気化して炭酸ガスを生じる。
二酸化炭素は空気より重いので、やがて水槽の底の方には二酸化炭素がたまることになる。
もし、この水槽の中に顔を突っ込めば、たちまち酸欠で死に至る……かもしれない。
危険な実験なのである、多分。
そこにストローでシャボン玉を吹き入れるとどうなるか。
それが下の写真である。

水槽の底においてある白い塊がドライアイスである。
そして写真の左端、手のすぐ右に注目してほしい。
見えにくいけれどシャボン玉が浮かんでいるのがわかるだろう。
写真なので一瞬の出来事なのか、ずっと止まっているのかわからないが、実はこの位置で静止しているのである。
さらに見えにくいが、他にもいくつか浮かんでいる。
これがなかなか不思議な感じなのだ。
落ちると思いきや落ちない。
ふわふわ浮いているというよりは、ぴたりと静止している。
しかし、本当にいつまでも浮いているわけではない。
二酸化炭素がシャボン膜を通して中に入ってくるのでわずかずつだが落ちてしまう。
そしてうまくドライアイスの上に落ちると、素敵なことに膜がすっかり凍ったシャボン玉アイスができあがる。
なお、鹿沼市立加園小学校 箕輪秀樹先生のページには動画がおいてあるので興味のある方はご覧頂きたい。
7月下旬
シャボン玉アイスをうまく作る方法はないだろうか。
試してみることにした。
シャボン玉を膨らませてドライアイスの入った水槽に落としてやる。
しばらくは浮かんでいるが、やがてゆっくりと落ちていく。
少なくともドライアイス上に落ちてくれないとアイスにはならない。
つまり、寿命の問題と落ちる場所の問題がある。
寿命はシャボン液の改善でかなり克服されているが、やはり大きなシャボン玉は壊れやすいし落ちていきにくい。
小さなサイズの方がよいようである。
一方、落ちる場所は確率の問題なので、ドライアイスを出来るだけ広げてやるかシャボン玉の数を増やすしか方法はない。
水槽を小さくすると壁に当たる可能性が高くなるので却下である。
どうにかドライアイスの上に落ちたシャボン玉が確実に凍るかというと、そうはいかない。
落ちた瞬間にはじけてしまうものが多いのだ。
凍る場合もドライアイスに接触した下半分は凍っても上側は破裂してしまい、半球になることもある。
いや、半球でもいいのだが、もうちょっと工夫は出来ないだろうか。
しかし、時間がなくなってきたので、今回は確率に賭けることにする。